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【自分がその人と似てるな〜って感じて共感する時】ですか。その人をピエロだと思った時。その人の心の本質がどうであれ(というか心の"本質"など架空の存在であり、現実に在るのは人間への"認識"である。自分への認識、他人が下す自分への認識....)、自分の中の何かを"そこに在る"以上に、過剰に演出し生きてる人間。そう、道化師。


この道化師こそが一番面倒な人種だと思っていて、真実を過剰に引き立てているから質が悪い。道化師の演出道具は、真実である一方で虚像だ。"本当と嘘"を持ち合わせた人間が一番掴みにくい。本当であって、嘘でもあるのだから。道化師とは非常に面倒かつ迷惑な存在である。

「無用なものに高値を、有用なものに知らぬ振りをするという戦略は、本心を隠す際には有効だ。相互をとりまぜておけば尚良い。」- 円城塔


道化師なんて臆病な人間がなるもので、己の欠損を認めた上で隠蔽する勇気も無い者しか、その道を選ばない。本当であり嘘でもある道化師を見た人は、なにを思うのであろう。受け止め方は、人それぞれだ。真剣に怒る人も腹を抱えて笑う人もいるだろう。「、だ、ろう」。確定意見が出せないのは、自分もその道化師であるからだ。そもそもこれは共感の話だ。道化師を見てシンパシィを感じる道化師の物語だ。道化師の自分には受け手の姿など見えない。「情けないだろう、汚いだろう、せめて嗤っておくれ。」と笑い泣きし、涙で化粧を崩した醜いピエロしか、見えないのである。

道化師なんて、愛から逃げてる存在である。その上、愛を渇望している。本当の自分を曝け出して嫌われるのが怖いから、自己を過剰に塗りたくって予防線を張っている。それで求めるのは嗤いだ。憐れみだ。贅沢この上ない。


道化師に愛などやらん。
せめて、同情を。