この世界にあるのは「悪」じゃなくて「闇」

 『舞HiME』ってアニメが好きで、そのアニメではキャラクターたちが「戦いに負けたら一番愛する人が死ぬ」バトルロワイヤルに巻き込まれる。対戦相手の「1番好きな人」を殺して自分の「1番好きな人」を守る。どんな手を使っても。このゲーム構造が凄いと思ってて、自分の生死が懸かった一般のバトルロワイヤルよりもキャラクターたちは必死こいて闘うわけです。そのキャラクターたちが行っているのはまぎれも無い「殺人」。人道的にはNOでしょう。でも果たして彼女たちは「悪」なのだろうか?その動機を、その気持ちを我々は「悪」と断言できるのだろうか?

 これって世の中でも同じだと思ってて、「悪人」と呼ばれる人は沢山いるけど、誰も彼もそれなりの理由をもって悪事に手を染めてるわけです。「何故悪事に手を染めたのか」をクローズアップして考えると大体の行動って「悪意」のみじゃ片付けられない気がするんですね。その感情の矛先が金でも自分でもその感情はそれなりの速度と堅さを持ってるから。人の「一生懸命」を「悪」という一言で否定したくない。あまり。だから世界には「悪」って存在しないと思ってるんですよ。それなりに必死こいて皆生きてるわけで。

 でも「理由が見えない人」というのが時々いて。「他人のことを人間として思ってない人」。自分にはそういう人が悪事を行っても理由が無いから「悪人」とは形容しづらくて、むしろその人自体が「闇」に見えちゃう。自分の人生にはそういう人が1人だけいた。ほとんど目を見て話した事が無かったけど、記憶を探るとその人の目には「灯火」が無くてただただ「闇」が広がってましたとさというお話。起承転結も何も無いただふと思ったこと。